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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)6731号 決定 1953年5月29日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人田野井子之吉の上告趣意について。

論旨は原判決が憲法一一条に違反すると主張するが、実質は原審の加えた法令の解釈に誤があることを主張するのであるから、適法の上告理由とはなり難い。(被告人が刑法四〇条にいう「聾唖者」であるかどうかについては、原審の確定したところによれば被告人の聴能に後天的に生じた若干の障害があり、ために聴能は自由でないが、言語機能には障害はないというのである。従って被告人は「聾唖者」即ち聴能、語能の両機能を欠損した者とはいえないこと明かである。また原判決の説示によれば、本件では自首にあたる事実があったかどうかは記録上、明かであるとはいえないというのであるから、自首減軽をすべしとの所論も亦、採用できないのである。)

よって刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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